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VOICE 44. | 2017.April | MASAYA KUROKI

Text_Viola Kimura

 

 

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お仕事をされる上で大切にしていることは何でしょうか?

 

「なんだろう。これというのは無いですね。人生そのときそのときで見たいものとかやりたいことは変わるし。気分も変わるし。SNSにアップすることも今日のDJプレイについてもその場その場の感覚でやっています」

 

 

 

音楽は特に感覚や気分、ムードがキーになってきますよね。

 

「あなたの人生のベスト5はなにってきかれても、恋してるときとそうじゃないときとで違うし、ちょっと大人の気分のときはこんな音楽、疲れてるときはこんな音楽、ってありますよね。観たい気分の映画にも例えられると思いますが、何度も観た『ユー・ゴット・ア・メール』も『ゴッド・ファーザー』も今でも観たいと思うし、最近観た『ラ・ラ・ランド』みたいなすごいメインストリームなのも大好き。観たいそのときによってまた違う。仕事も同じことだと思うんです」

 

 

東京へ住まいを移されて3年目とのことですが、戻ってこられてどんなことを感じますか?

 

「海外にいると、日本がすごく愛されている国なんだということを実感します。それはあらゆるもののクオリティに由来するものです。品が良く、質が高いというイメージを持たれていますよね。3年前から再び日本に住み始めてからは、良いところも悪いところもよく見えるようになったのですが、もっとみんなに楽しんでもらいたい、と感じるようになりました。朝起きて仕事へ行って、文句を言いながら電車で帰って。それはどの都市でも同じことですが、そんな文句を言っていないで、選択肢はあるんだから自分で選べよ、って思います。自分は選択肢もチョイスも何もないところで生まれ育った人たちと生きてきましたから、どれだけこの世にものが溢れていて、どんなに平和か知ってほしい。もっとこの環境に有り難みを持ってほしい。住み始めて一層そう感じるようになりました」

 

 

 

いまの東京はどう映りますか?

 

「はじめの印象はとりあえずでかいなと(笑)。でもこんなに大きな街なのにカルチャーよりのシーンが少ないのがもったいない。自分たちがつくっていかなきゃいけないなと感じます。90年代は馬鹿げた遊びがたくさんやられていて、人はそれをバブルだったから、というひと言で片付けますが、ただのエクスキューズにしか聞こえません。今日も20-30代の人たちが遊び方を知らない、という話をしました。「じゃあ遊び方、ってあるの?」という話も出たのですが、遊びかたのルールなんてものは別にないじゃないですか。前提として、遊ぶ環境がないというのは可哀想だと思うんです。PEACEFUL JOURNEYももっと大きくオープンにやってほしいし、もっと若い子がいるとわかっていれば、もっと自分の選曲も合わせます。今日は丸の内ハウスでやらせてもらいましたが、ネクタイを締めたサラリーマンの方も喜んでくれて。別にヒップホップでもR&Bでもない格好なんだけど一緒に盛り上がれて嬉しかったですね。一方で、横では耳を塞ぎながらエレベーターへ駆け込む男性やOLさんもいて。そういった形でもリアクションがあるというのはすごく良いと思う。アクションしないとリアクションはない。リアクションがないと何も変わりませんから。東京はリアクションが薄い場面が多いから良いことだと感じます。昔は自分の国を遠いところから見ていましたが、今は戻ってきましたからもっと環境をつくっていきたい。なので今日のようなシーンをつくろうというマインドはすごく大切だと感じています」

 

 

 

拠点を東京にした理由は?

 

「家族と時間を過ごす時間を増やしたいのがひとつです。仕事の話で言えば、アジアのマーケットも開拓したかったため。香港、ソウルでの活動が多いですね。アジアはホットですよ。アジアを楽しく盛り上げていきたいです」

 

 

 

今後のブランドの展望について教えてください。

 

「6月末、ニューヨークのSOHOにオープンします。香港にも2店舗目を。日本国内でははじめて関西へ、京都に10月に。こちらはデパートメントストア内への支店のオープンで、レディースメインのラインナップになります」

 

 

 

これから丸の内がどうなっていったら良いと思いますか?

 

「既にすごい良い環境ですよね。あえて何か言うとすれば、コンテンツをもう少し若くしても良いかもしれませんね。もう少し若い、10代、20代も来れるような場があると。OLさんとサラリーマンが多いエリアで、ガラス越しにイベントを眺めるような人たちが多いと思うんですが、もったいない気がします。こんなに良いルーフトップがあって、住宅街じゃないから音だって出せるのに。若いみんなにももっときてほしいですね。がんばりましょう」

 

 

 

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黒木理也(くろきまさや)

1975年、東京都生まれ。12歳で渡仏し、学生時代は建築を学ぶ。2001年、ジルダ・ロアエックとともにKITSUNÉをスタート。ファッション、音楽、デザインとジャンルを越えるブランドとしての活動が注目を集める。2005年、初のコレクションを発表。2008年にパリで最初の直営店を構え、2010年秋冬コレクションよりブランド名をMAISON KITSUNÉに。2012年にはジルダとともにプチバトーのアーティスティックディレクターに就任するなどその活躍は自身のブランドにとどまらない。同年ニューヨークへ、2013年には東京・青山にも路面店とCAFE KITSUNÉをオープンする。現在は香港にも店舗を持つ。2017年秋にはニューヨークのSOHO、京都にもショップが増える予定だ。自身は東京へ住いを移して3年目となる。

 

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