(marunouchi) HOUSE

Archives

Report

 

Share

 

躍進を続ける注目のアーティストが語る、NYのアートシーン

 

 

NYで活躍し躍進を続けるアーティスト、ヒシャム・アキラ・バルーチャと青崎伸孝。アート界のみならずミュージシャンとしても知られるヒシャム・アキラ・バルーチャと、今回日本での初披露となった、今最も注目を集めるアーティストの一人青崎伸孝。青崎はクイーンズ美術館で作品を発表。新人ながらもマリアン・ボエスキーギャラリーでデビューするなど話題を集めているアーティストだ。そんな二人とNYのアート事情に詳しい藤高晃右、NYに通い続けている山本宇一がNYのアートシーンから最新のNY事情など、多岐に渡る視点で様々な話を繰り広げた。

 

TALK_NY_p1-01-1

 

line

 

山本宇一(以下、Y):ヒシャムさんのこと、結構まわりで知っている人がいるんです。人気者ですよね、ヒシャムさん

 

ヒシャム・アキラ・バルーチャ(以下、H):いえいえ、そんなことはないですよ(笑)。でも今回このイベントに参加できてすごく嬉しかったです。僕は、日本人とビルマのハーフで、中学高校は日本で育ったので、今生活をしているアメリカでもどこか日本人らしいところが出るんですよね。そんなアメリカで活動するいろんな日本人が集まってこのグループ展が開催されるという企画が面白かったし、両方の文化を体験して活動する日本人がこんなにいるんだということを、この展示を通じて知り合う事ができて嬉しかったです。

 

Y:今回8人のアーティストにお声がけさせてもらって、8人みんなNYでも知り合いっていうわけではなかったんですよね?

 

H:そうですね、初めましての人もいましたが、河合さんは元々知り合い、ムラタくんは大学で一緒でした。

 

Y:これをきっかけにNYでこの展示に参加してくれた彼らだけで、展示をやるなんてことになったらそれは、エキサイティングなことですよね。

 

H:同じ日本人でも、色々な人生の体験があって、それがどういう風にその国の文化に入り込むかってすごく面白い。自分のフィルターがみんな違うから。

 

TALK_NY_p1-01-2

 

Y:今日は、青崎さんとヒシャムさん2人のアーティストの方とのトークイベントですが、ヒシャムさんは“男気”、青崎さんは“いい人”。もちろん二人とも、どちらの性格も兼ね備えているんでしょうけど、一見対極な二人ですよね。ヒシャムさん、日本にいた時はどんな生活をしていたんですか?

 

H:自分の中で思い出深いのは、週末になるとヘッドフォンで音楽を聞きながら渋谷の本屋さんにいってアートの本を一日中立ち読みしてた。その時は人生のためのリサーチをしているような気がしてました。本から情報を吸収していたんでしょうね。

 

Y:NYのカルチャーのひとつに“ストリート”っていうのが漠然とあるんですけど、青崎さんは活動場所もストリートだけど、ヒシャムさんもそうですよね。東京には、ストリートっていうカルチャーがあるようでないような気がするんですけど、東京で活動することと、NYで活動すること、NYで活動する上でその違いってどういうところだと思いますか?

 

H:わかりやすくいうと、アメリカは色んな文化がまざりあっている、その影響が道で聴こえたり、見えたり。ラジオを聞いていても、ラテンの曲がかかっていたと思ったら次はヒップホップ。チャイナタウンの隣にはリトルイタリー。ブルックリンはもっと混ざっている気がする。東京と比べるとそういうところがまず違う。あと、クリエイティブなことで成功するために世界中からNYに来る人が多い、だから競争率がすごいから、自分のベストを見せないといけないという部分は日本とは大きく違うところかもしれない。

 

TALK_NY_p1-01-3

 

Y:青崎さんはどうですか?

 

青崎伸孝(以下、A):僕は、東京で活動したことがないので、今回3年ぶりに帰って来て、東京はまだ、消化している最中なんですけど、NYは場所によって人種がちがったり、住んでいる人の所得層がちがったり明らかなので。僕の地図の作品(後述、『FROM HERE TO HERE』)、マンハッタンの次、クイーンズで行ったんですが、マンハッタンとは全く違う反応でした。

 

Y:青崎さんの『OPEN BAG』という作品、青崎さんがファスナーがあけっぱなしのリュックをしょって街を歩いている。それを見て「かばん空いているよ」と声をかけてくれる人の声を、リュックの中に入ったテープレコーダーで録音。リュックの中からいろんな人の「かばんあいているよ」という声が聴こえてくるという作品なんですけど、これは東京では成立しない気がするんですよ。かばんあけて歩いていても、みんな見てみぬフリ、何も言ってくれない気がする。

 

A:そうかもしれないですね。日本独特のルールみたいのって面白いですよね。エレベーターの、ゆっくり行く人は左。急ぐ人は右を行くみたいなこととか。そういうのを今回すごく見るようにしていて。何か東京でもできないかなって思っています。『FROM HERE TO THERE』という作品。街の人に道を聞いて地図を書いてもらう。その地図を繋げてマンハッタンの形にした作品なんですが、それを東京でもやってみたいなって思っています。

 

H:だいぶ体験が変わると思います。

 

 

<<   1   2   >>

content_title

 

 

 

 

Archives