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Event Report Talk Session Shinsuke Kawahara with Ako Tanaka

 

アーティストの河原シンスケさんと「Numero TOKYO」編集長の田中杏子さんによるトークショー。パリを拠点に活動する河原さんと、「Numero TOKYO」編集長として世界中を飛び回る田中さん。優れた審美眼で世界を見る二人の視点で、今の東京を語りつくす。

 


 

東京とパリ。魅力的な街には、理由がある

 

 

Talk Session Shinsuke Kawahara with Ako Tanaka田中杏子(以下、田中):丸の内ハウスでは、8周年を記念して、河原さんの作品が展示されていましたが、展示では新作と、アーカイブ作品が展示されているんですか?

河原シンスケ(以下、河原)
:そうですね。僕の原点ともいえる、うさぎをイメージした作品や、Numero TOKYOで以前一緒に企画させてもらった、ホワイトボックス。ほかにもシルバーの彫刻と後ろの布製の作品は、クリストフのために作ったもの。あとは、パリで発表したスペース全体を覆うサイズだったものの一部を今回飾っています。それ以外は、新しく製作した作品ですね。

田中:丸の内ハウスをイメージして製作された作品もあるとか?

河原:丸の内ハウスをイメージしてというよりも、8周年の「8」という数字をイメージしました。あとは、1月に恵比寿のALギャラリーで展覧会をやったんですけど、今回丸の内ハウスは、ギャラリーと違ってもっとオープンなスペース。よりいろんな人が来るし、年齢層も広いでしょうから、もっと自然に受け入れてもらえるようなモチーフをと思って。それで自分のシンボルでもあるという事で、「うさぎの惑星」という猿の惑星じゃないけど。そういうイメージで創作しました。

 

田中:シンスケさんは、83年からパリにずっとお住まいですが、最近は東京とフランス、半分半分のペースですか?

河原:拠点は決めず、ノマド感覚。計算して進むよりは、感じている事をする。東京はすごく面白い!楽しいときのパリしかこない外国人は、パリっていいなっていうんです。パリで生活をしている僕にとって今パリという街が魅力的かというと、もちろん魅力的ですが、どんどんミュージアム化しているようにも感じています。
Talk Session Shinsuke Kawahara with Ako Tanaka
田中
:ミュージアム化というと?

河原
:パリは、世界一訪れる人が多い街と言われています。モニュメントは素晴らしいし、街は美しいし、それはずっと変わらない。30何年住んでいても朝起きて、街にでれば、きれいと思える。新しいものもでてきているけど、どんどん新しいことする経済的な力が弱くなってきているのが現実。なんか停滞している感じ。
ショッピングに関して言えば、例えば冬のパリは、歩いている人たちも、どこか暗い。ファッションの街だけど、黒を着ている人が多いから。日本人はどんどん新しいトレンドものを取り入れて、消費する。もしかしたら残らないものもたくさんあるかもしれないけど。フランスは、15、20年前のコートを着ている人が、たまにいるのではなく、ほとんどの人がそう。新しいホテルやファッションブティックができるけれども、それはフランス人のためではなく外国人のため。それもミュージアム化していると感じるところの一つ。

田中
:日本人の特徴なのか、東京という街は編集するのが上手と言われていて、既存のものと新しいものをあつめて、別の価値を生み出している。丸の内もそうだけど、そこまで価値がなかったところも、裏原とか渋原とか前からあったのに、新しいネーミングをつけて新しいランドマークにしちゃうのが、うまい。
 海外のクリエイターたちは、みんな日本が好きですよね。アジアのほかの国をスキップしてでも東京だけは来る。独自の文化があって、独自の開発を遂げていて、新しい価値基準があって、いつも新しい何かがある。だから面白い。なのに、柔らかいから。空気もそうだし、人も優しいし。居心地がいいんでしょうね。食べ物も美味しいし。すべてのサービスの質が高い。ここにいるとパラダイスだってみんな言っています。
Talk Session Shinsuke Kawahara with Ako Tanaka 外国のデザイナーたちが日本に来ると、プレスは朝から晩まで48時間体制くらいでアテンドしてケアするじゃない?でも私たちが呼ばれて行っても放置。なんでだろうって思うところもあるけれど、きっと日本っておもしろいよね?と共感してほしいから、頑張っちゃうんでしょうね。

河原
:頑張っちゃうのはすごくいいと思うけど、それをもっと表に出したり自信を持ってもいいんじゃないかなって感じる。日本の良さは控えめなところでもあるけど、自分の中身として自信を持って、いい国だと思ったり、海外に出たときに自信を持つことも大事。すごく素晴らしいところがある国だから、認識することが必要だし、これから新しい世代には、もう少しアピールしていってほしいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

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(marunouchi)HOUSE 8TH Anniversary | Talk SessionShinsuke Kawahara with Ako Tanaka

 

 

 

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