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Talk Session Shinsuke Kawahara with Ako Tanaka

 


インスピレーションの源

 


田中
:シンスケさんのクリエイションは、どういうところからインスピレーションを受けることが多いですか?

河原
:最初にパリにいったころは、自分にないものを吸収したいから、音楽やアートなどヨーロッパ的なものにすごく惹かれました。それが、フランス人の友達の家に、日本の着物のようなものをテーブルにセッティングしてあったりするのを見て、実家にもあったなこういうの、なんて思い出したりして。日本にいた頃古臭いとおもっていたものが、今逆に新鮮で、違う見え方ができる。日本の良さみたいなものを再確認することも多くなりましたね。

田中
:わかります。シンスケさんのパリの家の空間は、すごくおしゃれ。パリの街で見つけては買って、飾っているものがシンスケワールドを作っているんだと感じます。でも日本のスペースは、日本の空間なのにシンスケさんの手にかかると、なんでこんなにおしゃれになるんだろうって思う。それは、視点なのかな?ものを見るときの視点。
Talk Session Shinsuke Kawahara with Ako Tanaka
河原
:プロダクト単体ではなくて、いろいろな要素が一つになることで心地良さを感じたり、アグレッシブになれたり。そこにいるときの空間やシチュエーションで、人の気持ちって和らいだりする。そういう空間づくりを、自然としてきただけなんです。
 裏返してみたらこのブランドだった。だからいい。っていう人がいる。そのブランドの良さっていうのは、ブランドが培ってきた歴史とかクオリティがあるけど、選ぶのは消費者。すごく綺麗なクリスタルのコップがあるのと、ガラスのコップがある、一緒じゃない方がいいときもあるけど、一緒のときがいいときもある、そこを使いわければいいだけのこと。新しいシェフが誕生してきているのもそう、生で出されるものがあって、ちょっと半生のもの、焼いたもの、蒸したもの。同じ野菜でも味わいが違ったり、口の中に入れたときに感覚が違ったり、そういう事に気づくかどうかが大事。

田中
:家の中にインテリアを飾りましょうとかそういう感覚ではないってこと?

河原
:そのときの気持ちとかフィーリングとかを大事にするというか。写真に撮るとステキっぽく見えるもの。世界中で、ブティックホテルが流行って、すごくたくさんできているけど、違うなと思うことが多いんです。ステキなところも、もちろんあるんですけどね。写真だとフォトジェニックだけど、実際行ってみるとなんか押し付けがましい&うそっぽい。高い安いじゃなくて、安い中でもステキなものもあるし、見極めっていうのを自分で判断できるかっていうことが大事なんじゃないかな。

 

 

 

Talk Session Shinsuke Kawahara with Ako Tanaka流行という価値観とは

 

 

田中:パリは今、日本人のシェフがつくる新しいフレンチが流行っていると小耳に挟みました。シンスケさんの行きつけのお店はありますか?

河原
:新しいところが出来ると行ってみるようにしています。そろそろまた次のステップに行って欲しいなって思っている。ブームになり、みんな同じスタイルなってきちゃっているように感じます。何かプラスアルファを考え感じたりしないと、結局真似でしかなくなっちゃう。それはファッションでもそうなんだけど、特別な一部のクリエイターが敬意を払われるのは、彼等が考えて感じて作っているから、結局それが伝わるからじゃないかな。

田中
:自分のテイストに落とし込まれているかどうかなんですよね。

河原
:こんなにものがあふれている中で、どうやってそれを選んでいるんだろう。でも見ていると今の流行りが解りやすいし、みんな綺麗な最新ものを身につけていますよね。僕自身は、最近ヴィンテージのものを着ることが増えてきました。新しいものだけでまとめると落ち着かないこともあるんです。

田中
:ファッションも今、ヴィンテージがキーワードになっていて、いかにもヴィンテージに見える新しい服というのがすごく多くなっている。見直されているのかな。ヴィンテージの存在意義。ヴィンテージなものに価値があるとかじゃなくて、ヴィンテージに気持ちが向いているという。存在意義とか存在価値が見直されているかなと。


田中
:新しい作品の発表の予定はありますか?

河原
:エルメスで、いろんなクリエイターが呼ばれてなんでもつくっていいというプロジェクトがあります。クロコダイルや、クリスタル、シルバーなど、パーツとして再利用するというか、それをもとに新たにデザインを作るプロジェクト。いろんな国で展示されているのですが、銀座のエルメスでは、5月29日から。僕の作品は8点ほど展示される予定です。

田中
:どんなものをつくったんですか?

河原:いろんな素材をミックスして、ジェリーボックスのようなものを作りました。これからは、日本の陶芸とか独自の文化的なものをミックスして、自分らしいものが作れたらいいなと思っています。

田中
:海外のクリエイターも日本の伝統工芸にすごく注目している。ロエベや、グッチもそう。日本の伝統工芸や職人技と関わりたいと思ってもらえているみたい。伝統工芸も日本のとても大切な文化の一つですけど、夜遊びも文化の一つ。日本ってNYと並んでカルチャーを発信している街ですよね。

河原
:世界が小さくなっているから、パリでもNYでもロンドンでも。前の日NYのクラブであっていたDJの友達と、3日後くらいに東京の街でばったり会ったりする。そんなこと昔はありえなかったけど、いろんな人が日本に来たいから、行き交っていますよね。世界はどんどん近くなっていると感じますね。

 

 

 

 

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(marunouchi)HOUSE 8TH Anniversary | Talk SessionShinsuke Kawahara with Ako Tanaka

 

 

 

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