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HOUSE TRIBUNE

 

 

新しい物が好き。熊本が流行の発信源だったって本当ですか?「わさもんが語る熊本とファッション」対談(前編)

 

わさもん会議 IN THE HOUSE 「わさもんが語る熊本とファッション」と題されたトークイベントが2013年1月31日に新丸ビル7F丸の内ハウスライブラリーにて開催されました。今も東京のファッションリーダーたちに影響を与え続ける熊本のセレクトショップオーナー・有田正博さんを囲み、37年の付き合いのある株式会社ユナイテッドアローズ取締役会長・重松理さん、熊本出身のスタイリスト・馬場圭介さん、島津由行さんに、ファッションで活躍する人材を多く輩出している熊本について、藤本真美さんがうかがいました。


ファッション先進地域
熊本は地方ではなかった
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藤本 
私が高校生のとき、熊本で流行れば東京でも流行るという話をよく聞きました。熊本は流行の発信源だったのでしょうか?
重松 自分は1976年の2月に「BEAMS」をスタートしたんですけど、当時もファッションの中心は東京、次に大阪があって、福岡や札幌は東京や大阪の後追いだった。そういうファッションの構図の中で、熊本だけが違ったんですよね。
藤本 地方の中で、どうして熊本だけ違っていたんですか?
重松 熊本というのは直接海外とつながっていて、東京と同じか、東京よりちょっと早い。我々は東京でビジネスを始めたばかりだったけど、ものすごく脅威を感じていた。日本で一番早いのは、東京じゃなくて熊本だな、とずっと思っていました。
馬場 それはもう有田さんのおかげというのがある。
有田 そんなことはない。
重松 いや、当時の事実です。かつて有田さんが牽引していた熊本が一番早かった。九州でも福岡でもありません。有田さんは西日本に黄金塔のように輝いていた。大変な存在でした。
馬場 俺と島津は高校生でしたけど、有田さんの店で、ナイキとかプーマのスニーカーを初めて見て、よく買わされました。(笑)
有田 すみません。
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馬場 有田さんは売ろうというよりも、自分の知識を伝えようとする一所懸命さを感じましたよ。この人、すげ~なって。
島津 僕は高校一年から三年まで、有田さんの店に毎日、従業員のようにいました。僕らが好きなものは、まだ商社がついてなくて、有田さんが直接買いつけるわけですよ。今でいう並行輸入ですね。
馬場 たぶん、有田さんが最初だと思うな。
島津 だから熊本にしか売っていないものが出てくる。
有田 みなさん、言ってくれているだけです。(笑)熊本は人口が少ないんで、ファッションが早いというよりも、行き渡るのが早いんです。今でも人口70万人ですからね。だから何かを売りだそうとしたとき、すぐに底が見えるんですよ。次から次に新しいものを探さないといけない。そうやっていたのが、早いと感じられたのかも。
重松 「BEAMS」は京都の次に熊本に店を出しました。それはもちろん、熊本がオシャレな街だからというのと、有田さんの店があったから、既にマーケットがあるわけじゃないですか。熊本は非常にファッションがわかる土壌だから、非常に気をつかって店作りをしました。商品は原宿本店にあるのと同じものを出しました。
有田 熊本の県民性ですかね。熊本では新しいものが好き、流行を追いかけている人を「わさもん」と言うんです。
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独特なマーケットの存在
東京では売れないが、熊本では売れる
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有田 
1976年に「アウトドアスポーツ」という店を立ち上げまして、それが最初の僕のお店です。
重松 私も「BEAMS」を同じ年にオープンしまして、有田さんが来られたことを憶えています。
有田 行きました。
重松 もう37年の付き合いになります。
有田 これとこれ分けてください、って「BEAMS」で言ったことがあるんです。憶えていますか?
重松 もちろんです。有田さんとは情報交換しながら、どっちかが先なら教え合ってきました。その当時はマーケットが違いますから、まったく競合しません。情報交換ができるいい同業者でした。
有田 当時は、すごい刺激だったんですよ。
藤本 東京と熊本がファッションでつながっていたんですね。
有田 しかし、熊本だけで売れて、東京で売れないものもありました。
藤本 その中で一番印象的なものはなんですか?
有田 たとえば、馬小屋を掃除するときの長靴みたいなやつを履いていた。みんなそれを履いて、街をうろうろしていました。
馬場 「AIGLE」の長靴ですよね。物はオシャレなんですよね。長靴とは全然違う。
重松 ただ、雨降っていないときに、履くんだよね。
有田 当時、それ履いて東京に来たら、「田舎もん!」って言われました。でも、そういうのが楽しかった。言われて楽しいみたいな。
馬場 熊本県人は「わさもん」ですから、基本的に目立ちたがり屋なんですよ。いいことも悪いことも。
藤本 一人が履いていたら、みんなが履くようになった。有田さんが流行らせたんですね。
有田 それを流行らせようってことでは、ないんですけど。なんかこれを伝えようってコツコツ売っていたら、だんだんみんなが履くようになった。そういうことを何度も体験しました。自分のスタイルを売るって言うんですかね。自分で噛み砕いたものを売る。自転車を売ったこともあります。
藤本 東京と熊本のファッションの違いは何なのでしょうか?
馬場 今の時代はないはずでしょ、これだけの情報社会だから。しかし、熊本の県民性でいくと、それでも違うことをする。わさもん、ひごもっこす、へそまがり、同じ方向には絶対に行きたくない。俺は違うぞ、というところがあるんじゃないですか。
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